top of page
UTAU音源、詠冥ミジ。
歌に関する、とある都市伝説が人の形を成した存在。
下の名前は漢字で書くと「深地」。
真名【トミノの地獄】。
何の謂れもない詩に纏わる噂話に尾鰭がついていき、「その詩を声に出して読むと不幸が起きる」「音読すると死ぬ」などと云われるようになってしまった無辜の怪物。
元々の詩は勿論何の祟りも持たない美しい作品だが、詠冥深地は”都市伝説としての【トミノの地獄】”から生まれた怪異であるため、あくまで噂でしかなかった呪いの力を実際に使役することができる。
他にも人外じみた基本技能を色々持っている。例えば火を噴いたり、髪の色や長さを一瞬で変えたり、腕が千切れたとて即座に再生させたりなど。
衣服や包帯で常に隠している首には、まち針のような道具で封をされた赤い一筋の線が在る。
これは彼女の”第二の口”であり、ここから発せられた呪詛を聞いた者に呪いがかかり、身体的・精神的な苦痛、怪我、病気、その他、あらゆる傷害を引き起こす。
(今現在は使うことのない能力ではあるものの、有事の際、例えば戦闘時にはもしかしたら封が解かれるのかもしれない。)
過去、彼女は能力を用いて、囚人に罰を与える獄卒を務めていた。…務めていたというより、それ以外の生き方を知らなかった。他者と会話する機会も無く、彼女の心とひとつめの口はすっかり掠れてしまった。
外の世界のことは知っていた。亡者たちが、こんな所は早く出てまた娑婆に還りたいと話しているのをよく耳にしていたから。
永い刻、罪を犯した極悪人たちに苦痛を注ぎ続け──やがて彼女は地獄の様相に辟易し、風聞と空想を糧に現世へと亡命を計る。
そして、心身が擦り切れる程彷徨い続けた先、偶然入り込んだのは……とあるパソコンのフォルダの片隅だった。
新手のウイルスが入り込んできたのかと様子を見に来て、蹲る詠冥をそのまま保護したのが、のちに彼女が兄のように慕うこととなる先輩UTAU音源『嗚代タビ』だった。
地獄の罪人以外に自分の声を聞かせることが怖くて何も話せなかった詠冥に、嗚代はフォルダを漁って自分の古い音素をコピーして彼女に分け与えた。
「使い古しでごめんけど、そのファイルがあれば喋れるし、歌えるはずだよ」
「キミが何者なのかはわかんないけどさ、ここに来たってことはきっと歌いたかったんじゃないかな」
「あ!でもちょっと待って!他のひとから自分と同じ声すんの違和感すごい!ちょっと加工させて!可愛くすっから!」
……そうして彼女は歌声を得た。
それは、少し機械的で不自然ではあったけれど。
呪いを持たないその声は、彼女に新しい路を示した。
-------------
■補足■
【トミノの地獄】は読んだ人によって内容の解釈が変わる作品です。地獄を旅する少年の物語とも、遊郭に売られた少女の話とも云われています。
故にこれを元ネタとする詠冥ミジの性別も不明瞭であり、キャラクターの設定上も[解釈は人それぞれ]としています。
しかし声質は恐らく女声に分類されるものであり、見た目も女の子っぽくしていることが多いので、扱いとしては「彼女」でよいと思います。
余談ですが、彼女が「兄(あに)さん」と呼んで慕う嗚代タビも性別不詳なのでもう兄妹でも姉弟でも何でもありです。
お好きなように想像や解釈や描写をしていただければと思います。
■補足 弐■
こんな感じで隠し設定的な扱いとなっているものの、詠冥の正体につきましては口外禁止というわけではありません。
例えば「ミジちゃんはトミノの地獄なのでこの曲が似合うと思ってカバーしてもらいました」といった説明を添えて作品をご投稿いただく等、全く問題ございません。
■補足 参■
地獄から逃げてきた詠冥ですが、追っ手が迫ってきてるとか連れ戻されそうになってるとかそういうシリアスな要素はないです。
もし彼女の逃亡により極卒が足りなくなるようであれば無理矢理にでも帰らされてたかもしれませんが、あっちの人員はそれなりに潤沢なのでしょう。
ちょっと気まずい実家って感じですが、たまに帰省もしています。上司(閻魔大王様とか)に色んな報告をしたりもします。怪異なので一瞬であちらの世界へ行けて便利です。
■さいごに■
詠冥は【トミノの地獄】から生まれた都市伝説を勝手にモチーフにさせていただいただけのしがない創作キャラクターです。当然ではありますが、詩の作者様方とは何の関係もございません。
bottom of page